ちなみに、安静時の呼吸は7割がた 横隔膜の動きで行われています。
この横隔膜も当然筋で動いているのですが 横隔膜の筋肉は
○吸気時:収縮することで腹側に引き下がる
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○呼気時:弛緩することで胸側に上がる
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という動きをしています。

そして外肋間筋の働きは”肋骨を引き上げ、
胸郭(胸の空洞)の容積を広げる”
というものなのですが これをイラストで解説します。

通常、肋骨は背骨から前斜め下方向に並んで関節しています。
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吸気時はそれぞれの肋骨が上に引き上げられます。
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これを上から見るとこのような変化があります
kokyu8 ⇒⇒⇒kokyu7

面積が広がりますよね?

そして胸郭の腹側面では横隔膜が下に引き下がっていますので
この増えた容積分息を吸えるわけです

では 運動をして普段より酸素が必要になったとき また
“深呼吸をしようとして 意識して大きく息を吸ったとき”
胸郭の拡張に働く筋肉はどうなるでしょう

深い呼吸時の吸気(吸う時)に働く筋
○横隔筋・外肋間筋・吸気補助筋郡
(斜角筋・胸鎖乳突筋・肋骨挙筋・大胸筋・小胸筋)

同じく呼気に働く筋肉(吐く時)に働く筋肉

○内肋間筋・腹筋郡(腹直筋・内腹斜筋・外腹斜筋)

おっと、吸気に関わる筋肉が急増しました。
それに対して呼気に関わる筋肉は内肋間筋以外は
すべて腹筋郡となっています。

ちなみに、吸気に加わった”吸気補助筋郡”とは
肋骨上部と首の裏や後頭部を結ぶ筋肉となっています。

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ここまで来て、ようやく”なぜ吐ききれていないこと”が重要か、
という解説になります。
このブログを読んでくださっている方は
PCにしろスマホにしろ、何らかの端末を仕様していますね

そんな作業をしている時の姿勢って
ちゃんと胸を開けていると思いますか?
腕を前に出して作業をしている際、胸は必ず閉じています。
肩甲骨が前にせり出しますからね。
(当然今の私も胸を開くことができていません)

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胸が閉じた状態でいる時”吸気補助筋”は縮んでいます。

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そう 現代人はほとんどみんなこの状態。
吸気補助筋郡が縮んだ状態は、
ストレッチをしなければ伸びることはありません。
だからつまり、これらの筋肉は常に”胸郭(肺の容積)
を広げよう”という方向へ向かっていることになります。

さらに厄介なことに 腹式呼吸を普段から意識しているひとって
あまり居ませんよね。
身体は息を吸いきった状態のままで居ようとしている
それならば吐くほうをしっかり意識しなくてはいけないのに
呼気に働く筋肉は

○内肋間筋・腹筋郡(腹直筋・内腹斜筋・外腹斜筋)
その大半が腹筋郡なんです。

腹式呼吸が大切だって いろんなところで聞くと思います。
なぜだかちょっと分かった気がしませんか?

お腹をつかって呼吸しないと
息をしっかり吐ききれないんですよ。つまりは。

そしてさらに厄介なことに
横隔膜は横隔筋という筋肉で動いているのですが

このブログでも何度もお話していますが 筋肉って、
引っ張ってあげないと伸びないんです。
だから縮ませたままにしていると縮みっぱなしになっちゃうんです。
横隔膜が縮んだまま伸びなかったとすると・・
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引き下がったまま固まってしまうことになります。
さらに 大体の人が、胸を閉じて暮らしてますから、
胸筋が縮んでいるため それもあって胸郭は広がったまま。。。

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ここでもまた「すいっぱなし」を形作るピースが隠れてましたね。